トレード手法

ブレイクアウト直後に狙うトレンドフォロー手法(究極)

ブレイクアウトは、一定の価格帯から値が飛び出すことをいい、短時間で大きな値動きとなるため、一般的にトレードチャンスと言われています。

ブレイクアウトは値幅が大きく、大きく利益を得られるとても魅力的な場面。

もし、ブレイクアウトをうまく捉えられる手法を持っていれば、大きなアドバンテージになります。

しかし、実際にブレイクアウトそのものに乗っていく手法は、ダマシも多くて、勝率が低いのです。ブレイクアウトの特性を理解し、うまく使わないと、損切りばっかりとなってしまい、その積み重ねで大きな損失となってしまうこともあります。

この記事では、ブレイクアウトの特性を解説するとともに、ブレイクアウトを生かした勝率の高いトレンドフォローの手法をご紹介します。

相場の原理原則に則った王道のトレード手法ですので、今後のあなたのトレードにおいて強力な武器となるはずです。

では、さっそく始めていきましょう。

1.ブレイクアウトの5つの特性

詳しい手法の説明を始める前に、まずはブレイクアウトの特性を理解していただく必要があります。

ブレイクアウトには次の5つの特性があります。

  1. ブレイクアウトはしづらい
  2. 値は伸びれば必ず戻す
  3. スプレッド拡大のリスクがある
  4. ブレイクアウト後はトレンドが発生する可能性が高い
  5. ブレイクアウト後には余波がある

それでは一つずつ見ていきましょう。

①ブレイクアウトはしづらい

実際、チャートを見てもらえばわかりますが、相場のほとんどがレンジ相場です。

トレンドがガンガン出ているような場面は実は少なくて、ある価格帯を行ったり来たりというような横ばいになっていることがほとんどです。

つまり、ブレイクアウトで大きく動いている時よりもレンジ相場で揉み合っていることの方がずっと多いのです。

レンジの場面の方が圧倒的に多いので、「ここでブレイクアウトする」と思っても、多くの場合、ダマシとなります。

ブレイクアウトの瞬間に乗っていくような手法は、大きな利幅を取れる半面、ダマシが多く、実は勝率がとても低い手法なのです。

②値は伸びれば必ず戻す

相場は、上下に波を描いて動いています。

買われたことで上へ値が伸びると、その後、その買いに決済注文が入り、値は次第に下へ戻していきます。

相場にはこのような押し戻しがあって、値が伸びた瞬間にポジションを持ってしまうと、高値掴み、安値掴みをしてしまって、含み損を抱えることになります。

そして、含み損に耐えきれず損切りした途端、思惑どおりの方向へ向かうのです。

一直線に動かないで、上下に揺れ動きながら価格を形成していく。これは相場が持つ特性の一つです。

③スプレッド拡大のリスクがある

ブレイクアウトは、瞬間的に値が大きく動くこと。ブレイクアウトが起こると、多くの場合、スプレッドが急拡大します。

スプレッドが拡大すると、自分の想定よりも不利な価格で約定する可能性があるので、注意が必要です。

④ブレイクアウト後はトレンドが発生する可能性が高い

レンジは、買いの力と売りの力が均衡している状態であり、ブレイクアウトは、この均衡が破れる場面です。

例えば、上へのブレイクアウトである場合、売りと買いのバランスが崩れたことで、一気に買いに傾きます。買いが買いを呼び、含み損を抱えた人の投げ売りが重なり、一気に上へ伸びていきます。

上に伸びたことで、新規の買いも入りやすくなり、一方向へトレンドが出やすくなるのです。

⑤ブレイクアウト後には余波がある

ブレイクアウトが起こると、一方向へ値が伸びやすいと先ほど言いました。

ブレイクアウトを第1波とすると、ブレイクアウトの後には、第2波、第3波と継続して波が発生します。その波は、徐々に小さくなっていき、最終的には横這いになり、レンジとなります。

第2波、第3波でも十分な値幅があるので、実はダマシが多い第1波よりも狙いやすい場面だったりします。

2.ブレイクアウト環境下での高勝率トレンドフォロー手法

さて、ここまでブレイクアウトの特性を見てきました。ブレイクアウトの瞬間を狙う手法は、大きな値幅を取れるものの、

  • ブレイクアウトが発生する確率は低い
  • いつブレイクアウトが発生するかわからない
  • ダマシが多く、リスクが大きい
  • スプレッドが拡大する可能性がある

など、リスクが大きい問題があります。

ですので、私はトレンドフォローは、ブレイクアウト後の「第2波」を狙うのがベストと考えています。

それがこれからお伝えするトレンドフォロー手法になります。

では、いよいよ手法の具体的な中身に入っていきます。相場の環境認識からエントリー、決済までの一連の流れを見ていきます。

2-1 相場環境と狙うべきエリア

この手法で狙うべき相場環境と狙うべきエリアは次のようなものです。

中長期足のブレイクアウトが発生

下のチャートのような中長期足のレジスタンス(サポート)ラインのブレイクアウトを待ち、その直後を短期足で狙っていきます。

ブレイクアウト後の調整(短期足)

下の短期足チャートをみてください。

中長期足のレジスタンスラインを上抜けし、ブレイクアウト後に調整しています。

この調整の場面で、短期足でタイミングを計り、エントリーしていきます。

赤枠で囲んだエリアで再上昇の動意を注意深く監視していきます。この段階で、上にブレイクアウトしているので、買いで入ることを心に決めている状態です。

あとは、どのタイミングで買うかです。再上昇のきっかけを待って、価格の動きを注意深く観察していきます。

そして、次の2つを根拠にエントリーしていきます。

  • サポートラインの反発
  • MA20(ボリンジャーバンドのミドル)の反発

これら、どちらか一つ、もしくは、これらが重なった重合点で反発・再上昇するのを確認し、ロングエントリーしていきます。

大切なのは、反発し、再上昇の動意を確認してからエントリーすることです。

今回のケースでは、サポートラインまで落ちきませんでした。横ばいの調整の場合、MAタッチで反発する傾向にあります。

2-2 エントリーの根拠

この手法でエントリーしていく根拠を今一度ここで整理しておきましょう。

①レジスタンスラインを抜けたという事実

レジスタンスラインをブレイクアウトすると、レジスタンスラインは、サポートラインに切り替わります。

これは、レジサポ転換と呼ばれ、ブレイクアウトしたことで、市場参加者の目線が一つ上に切り替わったことを意味します。

相場の目線が一つ上に上がりますので、サポートラインに価格が近づけば近づくほど、買いに優位性が出てきます。

②ブレイクアウトの余波

ブレイクアウトは、レンジで蓄積されたエネルギーが一気に放出されることです。

そして、このエネルギーの放出は、レンジ期間が長ければ長いほど大きくなり、そして必ず第2波、第3波と余波が伴います。

第1波よりも第2波の方が小さくはなりますが、第2波でも十分値幅がありますから、ダマシが多い第1波より、より確実な第2波を取りにいくべきと考えます。

③MA20の反発

価格が一旦、移動平均線(ボリンジャーバンドのミドル)を上抜けると移動平均線はサポートラインのように価格を支え、下抜けるとレジスタンスラインのように価格を抑えるという特徴があります。

そのため、価格が移動平均線を上抜けると、その後、移動平均線に支えられ、反発する確率が高くなります。

これら3つがこの手法でのロングエントリーの根拠となります。このように、一つ一つエントリーの根拠を積み重ねていく意識がとても大切です。

次に利食いについて見ていきましょう。

2-3 利食い

利食いのタイミングとしては、次の2つがあるでしょう。

  • 執行足の直近高値・安値
  • 中長期足のチャートポイント

これらどちらのタイミングで利食いするのかは、その時の相場環境によります。

例えば、今回例示した短期足チャートのように高値を維持したまま調整の場合、直近の高値では十分な値幅を取れません。ですから、必然的に中長期足のチャートポイントがターゲットになります。

今回例示したケースでは、日足、週足とターゲットがなく、月足が一番近いチャートポイントになっています。

このようにターゲットがない場合、どんどん上位足に移していきターゲットを探す必要があります。

下のチャートは、短期足で見たターゲットのラインです。

2-4.損切り

損切りは、エントリーの根拠が崩れるところに置くのが基本となります。

今回の場合、

  • レジスタンスラインを抜けたという事実
  • ブレイクアウトの余波
  • MA20の反発

この3つがエントリーの根拠ですので、その少し下に損切りラインを設定することになります。

2-5 注意点

この手法を使う場合の次の4点を気をつけましょう。

①しっかりとしたブレイクアウトであること

この手法を使う際は、しっかりとブレイクアウトであることが条件です。つまり、しっかりとした長いローソク足でブレイクアウトしているかが重要です。

なぜなら、誰の目から見ても抜けたと認識できれば、多くの市場参加者に心的バイアスがかかり、チャートポイントがより機能しやすくなるからです。

②ブレイクアウト後の初回押しであること

また、ブレイクアウト後の最初の押しであることが重要です。時間の経過とともに、ブレイクアウトの余韻は小さくなっていき、逆行リスクは高まります。

必ず第2波を狙うようにしましょう。

③押し戻しの波形をよく見ること

調整の仕方にも注意が必要です。

できるだけ足の長さが短く、緩やかな調整の場面を狙うようにしましょう。

逆に急激に調整が起こるような場面は、トレンドフォローにとっては危険です。足の長さが大きく、短時間で調整される場面では、再度上昇(下降)するために大きなエネルギーが必要となるからです。

④点ではなく面で捉えること

どこで再上昇(下降)するのかは誰にもわかりません。転換点を当てることは、プロでも難しいことです。

ですから、点ではなく、面で捉えるイメージが大切です。

反発の可能性が高いエリアを特定し、そのエリア内で想定する動きとなったらエントリーしていく、そんな意識が大切です。

もちろん、面で捉える分、損切り幅はある程度余裕を持って設定する必要はあります。

3.まとめ

さて、ここまでブレイクアウトの特性とおすすめのトレンドフォロー手法をお伝えしてきました。

普遍的な相場の原理原則を利用した手法ですので、どのようなトレードスタイルでも応用が利くと思います。

ここでご紹介したことの一部分でも、あなたのトレード戦略に生かしてもらえたらうれしいです。