ボリンジャーバンドでどうやってトレードするの?
もし、あなたがそんな疑問を抱いているのなら、ぜひこの記事を読んでみてください。
ボリンジャーバンドは、相場のボラティリティや相場環境の把握、エントリーやエグジットにも使える万能のインディケーターです。
ミドルバンドの向きや傾き、バンドの形状から多くの情報を引き出すことができます。
この記事では、
- ボリンジャーバンドの形状パターン
- ボリンジャーバンドを使った高勝率トレード手法
- ボリンジャーバンドを使ったエグジットの方法
など、ボリンジャーバンドのトレードでの活用の仕方を徹底的に解説していきます。
最後まで読んでいただければ、ボリンジャーバンドをあまりよく知らないという方でも、ボリンジャーバンドの基本的な使い方からその本質までを十分に理解していただけると思います。
ボリンジャーバンドをトレードでうまく使えるようになれば、あなたのトレードの精度は間違いなく上がります。
ぜひ、最後までお付き合いください。
1.標準偏差と正規分布
まずは、ボリンジャーバンドの使い方の説明の前に、「そもそもボリンジャーバンドとは何なのか?」を解説していきます。
まずは、標準偏差と正規分布の説明から始めます。
ちょっと難しく感じてしまうかもしれませんが、こういうものなんだというくらいで聞いていただければと思います。
ボリンジャーバンドは、「標準偏差」と「正規分布」という統計的手法を取り入れています。
「標準偏差」はデータ群の集まりの特徴を表します。簡単に言うと、データの散らばり具合を見る一つの尺度です。
大量にデータがある場合、データの分布をグラフにすると、平均に近いデータが多く、平均から離れるほどデータの数が少なくなり、平均値を挟んで左右対象の釣り鐘型の分布(正規分布)になります。
下の図を見てください。
データ群が正規分布に従っている場合、平均値と標準偏差 (σ) の間に次の関係が成り立ちます。

これは、
- 平均値から±1σに全データの68.27%が入る
- 平均値から±2σに全データの95.45%が入る
- 平均値から±3σに全データの99.73%が入る
ということを示しています。
まり、±3σから外れるデータは、全データのわずか0.27%しかないということになります。
2.ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドは、移動平均に標準偏差を組み合わせて作られます。
具体的な作り方としては、まず移動平均と同じ期間のデータで標準偏差を求めます。
例えば、20日移動平均であれば、各々の日でその日を含む20日間のレートをもとに、移動平均と標準偏差を求めるわけです。
移動平均を結ぶと20日移動平均線となります。その移動平均の±1σ、±2σをそれぞれ線で結ぶと、上下に2本ずつの計5本からなるラインができますが、これが「ボリンジャーバンド」になります。
下のチャートは、ボリンジャーバンドの±2σまでを表示したものです。統計学的には、ほぼこの範囲で価格が収まることになります。

3.ボリンジャーバンドの5つの形状パターン
ボリンジャーバンドが何なのかを大まかに掴んでもらいましたので、次にボリンジャーバンドの形状からボラティリティと相場環境を把握する方法を解説していきます。
ボラティリティと相場環境を把握する際にボリンジャーバンドのどこを見るのかというと「向き」と「形状」です。
ボリンジャーバンドの向きと形状から、今の相場のボラティリティとどのような相場環境にあるのかを把握し、今後どんな動きになるのかを予測するのです。
ボリンジャーバンドの向きと形状は、次の5つのパターンに分類することができます。
- パターン1 拡大期 ・・・バンドが上下に開いている状態
- パターン2 成長期・・・バンドがトレンド方向へ平行に推移している状態
- パターン3 収縮初期・・・バンドが上下閉じている状態
- パターン4 収縮期(ボラティリティあり)・・・バンドが横方向へ平行に推移している状態
- パターン5 収縮期(ボラティリティなし)・・・バンドが横方向へうねりながらも狭いレンジで推移している状態
一つずつパターンを見ていきましょう。
パターン1 拡大期(バンドが上下に開いている状態)

これは、ブレイクアウトの直後に出る形状で、ボラティリティが一気に拡大した場面です。「エクスパンション」とも呼ばれます。
ブレイクアウトすると、その後にブレイクアウトした方向へ価格が動きやすい状況となります。上のチャートでは、上にブレイクアウトしていますから、価格が上方向へ動きやすい環境にあります。
統計学的には、本来2σを超える動きというのはあまり出ないのですが、相場の場合、強い動きが出ると、2σ、3σに沿った動きとなります。
このような動きは、「バンドウォーク」と呼ばれます。
パターン2 成長期(バンドがトレンド方向へ平行に推移している状態)

上下のバンドが平行にトレンド方向へ傾いて推移している場面です。
これは、ブレイクアウト後に価格がトレンド方向へ向かっていることを示しています。
上のチャートでは、適度に押しを作りながら上昇トレンドを描いているのがわかります。
ボリンジャーバンドが平行に推移しているということは、価格が直近の傾向に従っていることを示しています。
これは、トレンドが発生している時、トレンドが発生していない時、共通の特徴です。
このチャートでは、トレンドが発生しているということですから、押し目買い、戻り売りを基本としたトレンドフォロー戦略が有効となります。
パターン3 収縮初期(バンドが上下閉じている状態)

大きく値が動いた後には、必ず値動きは落ち着きます。その落ち着く過程で出現する形状です。
この形状は、ボラティリティが収縮する状態を示していて、その後、揉み合う可能性を示唆しています。
ブレイクアウト直後の、トレンドの一旦の踊場、つまりレンジに移行する可能性が高い状態です。
パターン4 収縮期(バンドが横方向へ平行に推移している状態)

横方向へバンドが平行に推移しながら、バンドにも幅がある場面です。
バンドに幅があるということは、適度にボラティリティがあることを示しています。
ミドルバンドが横向きの場合、トレンドが発生していないという状況ですから、価格がバンドの±2σの間を往復をする傾向があります。
この±2σ間の往復運動を利用したレンジ間の逆張り戦術はとても有効ですから、ぜひ活用してみてください。
ボリンジャーバンド±2σでも十分機能しますが、水平ラインを加えることによって、より精度が高い逆張りトレードができます。
パターン5 収縮期(バンドが横方向へうねりながらも狭いレンジで推移している状態)

上のチャートのようなボラティリティがかなり縮小している場面は、「スクイーズ」と言われます。
このスクイーズは、方向感がなく、上か下か、どっちに動くのかわからない状況ですので、正直入りづらい状況です。
ビックイベントが控えている場合や、大きな変動があった直後に出やすい形状で、このスクイーズの期間が長ければ長いほど、その後のブレイクアウトは大きい傾向があります。
スクイーズ後のブレイクアウトは、スクイーズの長さに比例します。
- 大きなイベントを待っている状況であること
- 入りたくても入れない欲求が高まっていること
これらを考えると、時間の経過に比例して、ブレイクアウトが大きくなることは、容易に想像できます。
スクイーズを見たら、「トレードできない」で終わらず、今後ブレイクアウトが起こるサインだと思って、逆にチャンスと見るべきです。
ただ、ブレイクアウトは「いつ」「どの方向へ」「どのくらいの大きさで」起こるのかはわかりません。ですから、ブレイクアウト後に押し目、戻しを狙っていくというのが最も安全な方法になります。
さて、ここまでボリンジャーバンドの5つのパターンを説明してきました。
このボリンジャーバンドの5つのパターン全てに言えることですが、それぞれの状態の初期ほどその傾向が出やすく、時間が経つにつれ、その傾向がなくなっていきます。
例えば、拡大期を例にとると、バンドの拡大直後は価格が一方向へ動きやすくなるのですが、時間が経過するにつれ、その傾向がなくなっていき、最終的にもみ合いを始めます。
それは、ポジション消化や反転への警戒感など理由は複数あります。
いずれ、どんな相場に影響を与える材料が出てきたとしても、無限に続く買いや売りはありません。利食いによる反対売買や新規売買が増えることで、相場は次第に沈静化していきます。
4.ボリンジャーバンドを使った高勝率逆張り手法
さて、ここでは、ボリンジャーバンドの特性を活かした高勝率逆張り手法をご紹介します。
4-1 狙うべき場面
ここでご紹介する逆張り手法は、中長期足のブレイクアウト直後、いったんの調整が入り、レンジに移行した場面で逆張りを狙う戦略になります。
一旦、ブレイクアウトが起こると、その後はボラティリティが低下していきます。
つまり、次第に価格の変動が小さくなっていき、ボリンジャーバンドが徐々に水平に推移し始めるのです。
先ほどの「パターン4 収縮期(ボラティリティあり)(バンドが横方向へ平行に推移している状態)」でお伝えしましたが、ミドルバンドが水平に推移している場合、価格がボリンジャーバンド±2σ間を往復する傾向があるため、その場面を逆張りで狙います。
なぜ、中長期足のブレイクアウト直後なのかというと、方向性が定まるからです。中長期足のブレイク方向へのみ攻めていけば、大きな流れでは順張りとなり、よりトレードの安全性が高まります。
4-2 エントリー&エグジット
次は、具体的なエントリー&エグジットのタイミングです。
中長期足のブレイクした方向へボリンジャーバンドの±2σタッチでエントリーしていきますが、反転が確定したローソク足を待っていると、逆行リスクが高くなりますから、指値注文を入れてエントリーするようにしよう。
エグジットは、ロングなら+2σですし、ショートなら-2σ到達が利食いの目安です。
もちろん、中長期足でトレンドが出ているのであれば、そのままポジションを持ち続けるのも有効です。
ストップをブレークイーブンポイント(損益0のポイント)に動かした上で、ポジションを保有し続けるのもいい選択でしょう。
4-3 損切り
損切りは、「エントリーの根拠が崩れるところ」に設定します。
この手法のエントリー根拠は、ボリンジャーバンド±2σですから、そこから少し離したところに設定します。
4-4 4つの注意点
この逆張り手法を用いる際は、より成功率を高めるため、次の4点に注意します。
中長期足のブレイク方向へのみエントリーしていくこと
一度ブレイクアウトすると、もう一度ブレイクした方向へ向かう可能性が高いので、中長期足のブレイクアウトした方向にのみエントリーしていくようにしましょう。
中長期足のトレンド方向に乗っていくわけですから、そのままポジションを保有し続けることも可能です。
水平ラインをうまく活用すること
ボリンジャーバンドと水平ラインを組み合わせることで、この手法はより有効なものになります。
例えば、水平ラインと±2σの重合点に値がタッチしたところでエントリーするなどです。
水平ラインの引き方について、以前かなり詳しく記事を書きましたので、ぜひこちらを参考にしてみてください。
しっかりとレンジに移行していること
この手法は、レンジの性質を利用したトレードです。
そもそもレンジは、ブレイクアウトしにくい特性を持っています。つまり、逆張りに適した相場環境なわけです。
ですから、この手法を使う際は、しっかりとレンジに移行したことを確認してからエントリーすることが大切です。
適度なボラティリティがあること
レンジのさや抜きは、短期トレードになるため、ある程度のボラティリティが必要となります。
スクイーズのようなボラティリティが極端に低い揉み合いではトレードを避け、バンドに幅がある適度にボラティリティのあるレンジを狙うようにしましょう。
5.ボリンジャーバンドをエグジットとして使う3つのタイミング
もし、あなたが利食いのタイミングで悩んでいるなら、ボリンジャーバンドにヒントを求めるのも有効な方法です。
利食いの目安としておすすめは次のとおりです。
①±2σタッチでエグジット
価格がボリンジャーバンドの±2σにタッチすると、一旦調整する傾向があります。
そのため、短期トレードにおいて、一つの利食いポイントとなります。

②トレンドの逆方向のバンドが閉じる
ボリンジャーバンドは、ボラティリティが拡大すると、バンドが上下に開き、ボラティリティが縮小するとバンドが閉じるという性質をもっています。
注目すべきは、上のバンドと下のバンドが閉じるタイミングの違いです。
上と下のバンドは同時に閉じるわけではなく、トレンドの方向とは逆方向のバンドが先に閉じ、その後トレンド方向のバンドが閉じます。
そのため、トレンドの方向と逆方向のバンドが閉じるのを確認し、エグジットするのも有効でしょう。

③トレンド方向のバンドが閉じる
よりトレンドに長く乗りたい時は、エグジットを遅らせるという意味で、トレンド方向のバンドが閉じるのを待ってエグジットする方法もあります。上のチャートを参考にしてください。
ただ、この場合、大きなトレンドに乗れる可能性もありますが、上のチャートのように、大きな調整が起こると利益を吐き出してしまう可能性もあるので、その辺は割り切りが必要です。
6.まとめ
さて、ここまで、ボリンジャーバンドを使ったボラティリティや相場環境の把握、エントリー&エグジットの方法について見てきました。
ボリンジャーバンド一つ見ても、
- ミドルバンドの傾き
- バンドの形状
- バンドの幅
- ローソク足との関係性
など見るべきポイントはいくつもあります。
これらポイントを押さえつつ、「相場の何を見るのか」を念頭に置いたうえで、ボリンジャーバンドをトレードで活用してみてください。