自分がポジションを取った後、なぜ反転してしまうのか・・・
あなたは、不思議に思ったことはありませんか?
天井掴み、底値掴みは、トレードをしていれば日常的に起こることです。
ただ、あまりにもタイミングがいいので、自分のトレードを「誰か監視しているんじゃないか?」なんて思ったことがあるかもしれません。
値動きが、直線的ではなく波形を描くのは、相場の特性の一つ。
この波の大きさを「ボラティリティ」と呼びます。
ボラティリティは、トレードプランを立てる際にも、エントリータイミングを計る際にも欠かすことができない重要な概念です。
しかし、実際にこれをどうトレードに生かすべきか、そのイメージが湧かないかもしれません。
そして、このボラティリティの概念を掴めていないことこそが、冒頭の「ポジションをとった瞬間に逆行する」の根本的な原因となっています。
この記事では、ボラティリティとは何かという基本から、ボラティリティに合わせたトレード戦略まで詳しく解説していきます。
では、さっそく見ていきましょう。
1.ボラティリティとは何か?
「ボラティリティ」とは、一言で言うと「価格変動の大きさ」です。
価格の変動幅と言ってもいいでしょう。
金融工学においてボラティリティ(volatility)とは、広義には資産価格の変動の激しさを表すパラメータ。
価格変動が大きいとボラティリティが高い、小さいとボラティリティが低いと表現します。
2.ボラティリティの特性
ボラティリティには次の2つの特性があります。
- ボラティリティは見えにくい
- 縮小と拡大を繰り返す
一つずつ見ていきましょう。
①ボラティリティは見えにくい
ボラティリティが価格の変動幅だと言われても、あまりピンとこないかもしれません。
昨日よりも今日の方が値動きが激しいなど、相対的なものであり、何か数値化されたものがあるわけではないからです。
実は、ボラティリティをインディケーターでわかりやすくする方法があります。
それが、ボリンジャーバンドを使う方法です。
ボリンジャーバンドの「幅」と「形状」によって、ボラティリティを把握しやすくすることができるのです。
例えば、「バンドの幅」については、「何pipsの幅」というように数値化することができます。これによって、トレードをするか否かの目安とすることができます。
ボリンジャーバンドによって、今の相場環境がトレードに向いているのか向いていないのかの判断が容易になるのです。
ボラティリティとボリンジャーバンドの幅や形状については、次の記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ボリンジャーバンド5つの形状パターンと高勝率逆張り手法
2-2 縮小と拡大を繰り返す
相場は、ボラティリティの拡大と縮小を繰り返しています。
価格は波のように大きな変動が起き、その後、落ち着きを取り戻し、値動きが小さくなり、そしてまた大きな変動が起こる
価格は、このような動きを延々と繰り返しています。
下のチャートを見てください。ボラティリティの拡大と縮小を表したものです。
(B)(D)は、溜めこんだエネルギーを放出している状態です。
放出したエネルギーがなくなると、エネルギーを蓄積するため、また収縮していきます。
「新規の売り」と「買いの損切り」が発生することで、大きな価格上昇となるのです。
(A)(C)(E)は、エネルギーを蓄積している状態であり、次のエネルギーの放出を待っている状況です。
蓄積量(相場の均衡)が限界を超えると爆発(拡大)し、その後、またエネルギーを蓄積するため収縮していきます。
ボラティリティが高くなっては低くなる。低くなっては高くなる。相場は常にこの繰り返しでできています。
3.ボラティリティの注意点
短期トレードには、どうしてもある程度のボラティリティが必要となります。
ただ、高過ぎるボラティリティは、逆行のリスクも大きいので次の点に注意が必要です。
①ボラティリティが高い原因を探る
ボラティリティが急激に高まる場面では、値動きのスピードも早いですし、スプレッドも大きくなる傾向があります。
例えば、雇用統計のようなビックイベントの際には、ボラティリティが急激に高まります。
- 動きが早い
- 動きが想定できない。
- 約定できるかわからない。
など、ボラティリティが極端に高い場合のトレードは、不確定要素が多く、おすすめできません。
ボラティリティが高い相場環境にある場合、まずは、「今なぜボラティリティが高まっているのか?」これを把握しておく必要があります。
なぜなら、ボラティリティが高まるのには、経済指標、要人発言、金融政策の変更など、何らかのファンダメンタル的な要因があるからです。
チャートだけを見ていても、わからないことがありますから、経済ニュース等でしっかりとチェックしておきましょう。
「なぜ今ボラティリティが高いのか」それがわかれば、今トレードをするべきか、それともファンダメンタル的要因が落ち着いてからトレードすべきか、その判断材料になるのです。
②ボラティリティに合わせた適切な損切り幅
一貫性のあるトレードを目指すために、損切り幅を固定してトレードする人もいますが、これはやめておきましょう。
損切り幅は、ボラティリティによって変えるべきです。
なぜなら、損切り幅を固定することは、相場のボラティリティを一切考慮していないからです。
相場は市場によって、時間帯によって、日によって、さまざまなリズムで動いています。
ですから、その時々で同じ1pipsでもその意味合いは全く違います。
ボラティリティが高い相場環境であれば、損切りまでの距離を多めにとるべきですし、ボラティリティが低いときは、ある程度損切り幅をタイトにしてもいいでしょう。
いずれにしても、損切り幅は環境に合わせて変えるべきです。当然、それによって、ポジションサイズは調整します。ポジションサイズを調整することで、損失額を平準化するのです。
相場環境によって損切り幅を設定するため、損切りポイントはどうしても感覚的なものになってしまいます。
どこにおくかという判断基準は、「ここまできたらしょうがない」そんな場所に損切りを置くようにします。
損切りについては、次の記事で解説していますので、後で見ておいてください。
投資効率を最大化する正しい損切り(ロスカット)の知識のすべて
③ボラティリティとレバレッジの関係
ボラティリティは、価格の変動幅ですから、レバレッジと深く関係しています。
これは、先ほどの損切り幅によって、ポジションサイズを変えるというところに繋がる話です。
ボラティリティが低いときのトレードは、レバレッジを上げなければ、十分な利益をあげることはできないでしょうし、ボラティリティが高いときのトレードは、レバレッジを下げなければ、損切りとなった場合のダメージが大きくなります。
レバレッジについては、次の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
いまさら聞けない!FXのレバレッジについてまとめ
④ボラティリティと通貨選定
短期トレードの場合、トレードする通貨ペアはボラティリティが一つの判断材料となります。
FXは鞘を抜いてなんぼですから、ボラティリティがある程度ないとトレードできません。
通貨の選定については次の記事で詳しく解説しています。
通貨ペアの選定で絶対に持つべき3つの視点とは
4.ボラティリティを意識したトレード戦略
相場環境によって、とるべきトレード戦略は変わります。
「長期足は短期足を支配する」、この相場の原理原則に従い、基本的には長期足のトレンド、ボラティリティなど、相場環境によってトレード戦略を定める必要があります。
そこで、ここからは、長期足のボラティリティによって、どのようなトレード戦略をとるべきかを具体的に見ていきましょう。
次の5つのパターンを考えてみます。
- ボラティリティが高まる場面
- トレンドが発生している場面
- ボラティリティは高いが方向感がない場面
- ボラティリティが低下する場面
- ボラティリティが低い場面
①ボラティリティが高まる場面
長期足でボラティリティが低い環境からボラティリティが高まる場面はトレードチャンスになります。
もちろん、ブレイクする瞬間というのは誰にもわかりませんから、ここで説明するのは、ブレイク直後の環境です。
下の日足チャート(長期足)のAの足の場面を見てください。
この相場環境では、短期足でのトレンドフォロー戦略が有効です。
短期足で長期足のトレンド方向へ押し戻しを待ってエントリーしていくことになります。
ここで大切なことは、短期足ではボラティリティが低い場面から高まるタイミングでエントリーするということです。
つまり、短期足では逆張り的に入るのです。
繰り返しになりますが、ボラティリティは拡大と収縮を繰り返しています。値は伸びるときがあり、必ず縮むときがあります。
それは、短期足も同じで、伸び切るとその後必ず縮みます。
短期足で伸び切ったところでエントリーしてしまっては、高値掴み安値掴みをしてしまい、結果、含み損となってしまいます。
短期足のブレイク中ではなく、必ずブレイク後の押し戻しを待ってからエントリーするようにしましょう。
②トレンドが発生している場面
長期足でトレンドが発生している場面もトレードチャンスになります。
例えば、上のチャートのBのような場面です。
ここでとるべき戦略は、短期足の押し戻しを待って、逆張り気味に狙っていく戦略です。
短期足では逆張り気味ですが、長期足の目線で見るとトレンドフォロー戦略ということになります。
③ボラティリティは高いが方向感がない場面
下のチャートを見てください。方向感がなく、水平ラインも引きにくいチャートです。
あまりトレードに向かない環境です。
短期足に一応、水平ラインやトレンドラインを引いて、短期的な鞘抜きはできるでしょうが、利を伸ばしづらく、大きな利幅は期待できません。
④ボラティリティが低下する場面
長期足でボラティリティが収縮する場面というのは、案外、短期足ではトレードしやすかったりします。
ボラティリティが低下する場面では、レンジになりやすく、オシレーターがよく機能します。
また、水平線やボリンジャーバンドを使っての逆張り戦略がうまくフィットします。
レンジ場面でのボリンジャーバンド戦略については、次の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
ボリンジャーバンド5つの形状パターンと高勝率逆張り手法
⑤ボラティリティが低い場面
下のチャートは、長期足がいわゆるスクイーズの場面です。
この場面は、相場として方向感がない状態ですから、基本的にトレードは避けたい場面です。
ボラティリティが低いため利幅も期待できません。
ただ、短期足で水平ラインを引くことができるのであれば、そのラインを背に超短期の逆張りで狙うこともできます。
5.まとめ
ボラティリティは市場参加者の心理を大きく反映するものです。
暴騰や暴落時は、ボラティリティが急拡大します。
これは、人間の欲望や恐怖が増幅され、普段は絶対に取らないような行為を助長させるからです。
そして、このパニックを起こすのは、常に大衆です。
つまり、「トレンドやボラティリティは、大衆の心理が作り出している」ということです。
差益を獲るトレードにおいて、他のトレーダーよりも一歩先んじるためには、9割の大衆にはない視点を身に付ける必要があります。
そのためには、まずは、
- 大衆の心理は今どうなっているのか?
- 大衆はどのようなときにどう行動するのか?
これらを常に考え、先回りしなければいけません。
ボラティリティの概念を知り、相場を客観的に一歩引いて見ることが、大衆から抜け出す第一歩です。
参考にしていただければ幸いです。