チャートパターンってどうトレードで生かせばいいの?
こんな疑問に答えます。
チャートパターンとは、チャート上に現れる特定の図形パターンのこと。
この図形パターンには様々な種類が存在し、それまでの流れが継続しやすいチャートパターンやそれまでの流れが転換し、反対の流れとなりやすいチャートパターンなどが存在します。
この図形パターンを認識し、うまくトレードで生かすことができれば、勝率を引き上げることができます。
しかし、知識として単にチャートパターンを覚えても、実際にトレードで生かすのが難しいのが実情です。実際のトレードで生かすためには、知識にプラスして相場をどう見るかという視点がどうしても必要になるからです。
この記事では、
- 継続と反転の重要な9つのチャートパターン
- 実戦でチャートパターンを生かす大切な2つの視点
をご紹介します。
今回のお話は、トレード戦略を立てる上で、とても大切なお話になりますので、ぜひ最後までお付き合いください。
では、さっそく進めていきます。
1.チャートパターンを学ぶ3つの目的
そもそも、なぜチャートパターンを学ぶ必要があるのか?その理由について考えたいと思います。
チャートパターンを学ぶ理由は次の3つです。
目的1 トレードプランを立てるため
まず、一つ目の目的は、トレードプランを立てるためです。
チャートパターンを知ることで、相場の定番の動きを理解することができます。
つまり、チャートパターンが出現した後の相場の値動きをある程度想定することができようになります。
この想定をもとにトレードプランを立てるのです。そういう意味からすると、チャートパターンはトレードプランを作成するためになくてはならない存在と言えるでしょう。
目的2 トレード機会を増やすため
二つ目の目的は、トレード機会を増やすためです。
チャートパターンを学ぶことによって、自分の頭で考え、新たなトレード手法を生み出すことができるようになります。
一つのトレード手法だけではなく、複数のトレード手法を使えるようになれば、トレードチャンスは必然的に増えます。
チャートパターンを学ぶことは、自分のトレードの幅を広げることで、より多くのチャンスを掴み、トレードの機会損失を無くすことに繋がります。
目的3 相場にフレキシブルに対応するため
そして、三つ目の目的は、相場によりフレキシブルに対応するためです。
これは、二つ目の目的に近いかもしれません。
チャートパターンを知ることは、相場背景をより深く知ることに繋がります。
そして、チャートの裏側にある心理の変化を感じることができるようになれば、相場に対し、よりフレキシブルに対応することができるようになります。
刻一刻と変化する相場環境に合わせ、柔軟なトレードができるようになるわけです。
2.チャートを見る際に大切なこと
チャートパターンを学ぶ目的について、3つの目的を挙げました。
- トレードプランを立てるため
- トレード機会を増やすため
- 相場にフレキシブルに対応するため
ただの図形認識をしていても意味がありません。この3つの目的をしっかりと踏まえて、チャートパターンを学んでいきましょう。
重要なのは、
- 相場参加者が、明確にチャートパターンを意識できるか
- チャートパターンを形成するに至った相場心理はどんなものか
これらをしっかりと意識してチャートを見ることです。
決して、
- このチャートパターンだからその後こうなるはずだ(思い込み)
- これはチャートパターンに見えなくもない(こじつけ)
このように、その後の値動きを思い込んだり、無理やりこじつけて解釈したりしないようにしましょう。
3.継続と反転のチャートパターン
さて、ここからは、具体的なチャートパターンをご紹介していきます。
チャートパターンには、
- 継続のパターン
- 反転のパターン
この2種類があります。
継続のパターンとは、トレンド中の一旦の調整の際に出るもの、反転のパターンとは、文字どおりトレンド転換が起きる時に出るものになります。
まずは、継続のチャートパターンから見ていきましょう。
3-1 継続のチャートパターン5選
継続のパターンは、トレンド中の調整の際によく出るパターンで、その後、トレンドが再度継続する可能性が高いものです。
ここでは、トレンドの合間に出る次の5種類のチャートパターンを説明していきます。
- レクタングル
- トライアングル
- フラッグ
- ペナント
- ウェッジ
では、一つずつ説明していきましょう。
①レクタングル
レクタングルは、基本的には継続のパターンとして考えられていますが、反転の可能性もあるパターンです。
2本の水平ラインの間で値動きが留まる形状でよく出現します。
形状も明確でしっかりと機能するため、トレードプランを作成しやすいパターンの一つです。
下の図では、上昇トレンド中であるため、いずれは上抜けていく可能性が高いです。逆に下へ抜けると、トレンド転換となります。uptrend-rectangle
②トライアングル
トライアングルには、次の3種類があります。トレンド中の一時的な調整の際に出現するものです。
シンメトリカルトライアングル
シンメトリカルトライアングルは、先がとがった三角形の形状です。
時間経過とともにボラティリティが縮小し、最終的に上下どちらかにブレイクします。
いずれ、どちらかにブレイクアウトするので、その後、押し目買い(戻り売り)の戦略が考えられます。
下の図では、上昇トレンド中であるため、上に抜けていきやすい傾向があります。
アセンディングトライアングル
高値が水平に抑えられていて、安値が切り上がっている状況です。
アセンディングトライアングルは、最終的に上方向へブレイクアウトする可能性が高いパターンになります。
上方向へのブレイクアウト後、押し目買いの戦略が考えられます。
高値は一定のラインで止められていながらも、どんどん買い圧力が高まっているのがパターンとして表れています。
その形状が作られる心理的な背景を想像してもらえば、上へ抜けやすいということは何となく理解できるでしょう。
ディセンディングトライアングル
これは、アセンディングトライアングルの逆のパターンになります。
高値が切り下がっていて、安値が水平に支持されている状況で最終的に下方向へブレイクアウトする可能性が高いパターンです。
下方向へのブレイクアウト後、戻り売りの戦略が考えられるます。
安値は一定のラインで止められていながらも、どんどん売り圧力が高まっているのがパターンとして表れています。
当然、下へ抜けやすい傾向を持っています。
③フラッグ
フラッグは、トレンドの一時的な小休止となっている状況です。トレンドが発生し大きく動いた後、かなりの高確率で出現します。
2本の平行なライン、小さい平行四辺形の形状をしていて、向きはトレンドの方向と逆になります。
例えば、上昇トレンドであれば、右下がりの平行四辺形となります。
この場合、上へブレイクアウトしたら、買いでついていくのがセオリーです。
④ペナント
先が尖った三角形の形状です。ペナントは、小さなシンメトリカルトライアングルと思ってください。
下の図は、上昇トレンド中ですから、上に抜けていきやすい傾向を持っています。
⑤ウェッジ
ウェッジは、上辺下辺が傾斜したもので、ウェッジの傾斜はフラッグと同じようにトレンドに対して逆向きとなります。
上昇トレンドでは、先端が下向きのウェッジとなり、下降トレンドでは、上向きのウェッジとなります。
繰り返しになってしまいますが、チャートパターンを見つけること自体に意味はありません。
それよりも、
- その形状に至った経緯
- 相場の裏側の心理的背景
- 出現する場面
これらが大切です。
継続のパターンは、ボラティリティが低下し、再度トレンド方向へ向かっていくためのエネルギー充電期間です。
ですから、規則的な値動きの秩序が崩れたら、崩れたほうへついていく意識がとても大切です。
細かいチャートパターンの名称は覚えなくても、その意識さえ持っておけば問題ありません。
3-2 反転のチャートパターン4選
次に反転パターンについて説明していきましょう。
反転パターンの主要なパターンとして、次の4つがあります。
- Wトップ
- Wボトム
- ヘッドアンドショルダー
- 逆ヘッドアンドショルダー
では、詳しく説明していきます。
Wトップ・Wボトム
Wトップは、天井圏でよく見られるチャートパターンで反転を示唆するものです。
高値更新を阻まれ、ネックラインと呼ばれるラインを下抜けて下落サインとなります。
Wボトムはこの逆のパターンで、底値圏でよく見られ、反発を示唆するものです。
安値更新を阻まれ、ネックラインと呼ばれるラインを上抜けて上昇サインとなります。
ヘッドアンドショルダー・逆ヘッドアンドショルダー
ヘッドアンドショルダーは、天井圏でよく見られ、反転を示唆するものです。
一度高値を更新した後で、その高値まで到達せず、ネックラインを下抜けて下落サインになります。
逆ヘッドアンドショルダーはこの逆のパターンで、底値圏でよく見られ、反発を示唆するものです。
一度安値を更新した後で、その安値まで到達せず、ネックラインを上抜けて上昇サインとなります
4.チャートパターンの強さ
チャートパターンには、サポートラインやレジスタンスライン、トレンドラインなどと同様に「強さ」があります。
ここで言う「強さ」というのは、パターンが機能するかどうか。その後の展開の確度です。
では、機能しやすい、強いチャートパターンとは、どんなチャートパターンなのでしょうか?
結論から言うと、それは「長期時間足のチャートパターン」です。
より突っ込んで言うと、市場参加者が注目している時間足のチャートパターンがより機能します。
数あるチャートの中でも日足チャートは、最も多くの人が見ていると言われています。
この日足チャートで誰もが認識できるような明確なチャートパターンが出現すれば、多くの市場参加者に心理的バイアスがかかります。
そして、相場は自然とパターンどおりの動きとなるのです。
「長期足は短期足を支配する」
これは、相場における原理原則ですが、チャートパターンにおいてもこの原則が当てはまります。
5.実戦でチャートパターンを生かす2つの視点
チャートパターンは、次の2つの視点を加えて見ることで、初めて実戦で使える武器となります。
- チャートパターンはどのような場面で出現したか
- チャートパターンが出る相場心理と背景
この2つの視点です。
それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。
チャートパターンはどのような場面で出現したか
チャートパターンがどこで発生したのかは、とても重要です。
例えば、下の図を見てください。
この図は、日足ベースでレンジを形成しているという状況です。
このような状況では、レンジの上限では売りに優位性があり、下限では買いに優位性があります。
このような状況を踏まえて、レンジ上限では、Wトップやヘッドアンドショルダーの上昇から下落への反転パターンを探し、レンジ下限では、Wボトムや逆ヘッドアンドショルダーの下落から上昇への反転パターンを探すのです。
チャートパターンという1つの要素ではなく、「エリア」+「チャートパターン」でトレードプランに組み込んでいきます。
優位性のある場所でチャートパターンを見つけることで、より強力なトレード根拠になります。
5-2 チャートパターンが出る相場心理と背景
次に、下の図を見てください。
下降トレンドで、サポートラインに到達した場面です。
一度サポートラインで反発し、そして2度目のチャレンジでも止められています。
このサポートラインは強いと認識され、ネックラインを上抜いてきました。
サポートラインで2度反発した
ネックラインを上回り買いサイン(Wボトム完成)
この2つの事実が市場参加者を買い目線へと変化させます。
その後、市場参加者が買い目線となったことで、どんどん上昇していきます。
次に下の図を見てください。
同じく下降トレンドでサポートラインに到達したという場面です。
一度サポートラインで反発し、そして次はその安値に到達しないうちに上昇し、ネックラインを上抜いた状況です。
このケースでは、
- サポートラインで反発した
- 下落トレンドの否定(高値の切り下げを否定)→トレンド転換を連想
- ネックラインを上回り買いサイン(逆ヘッドアンドショルダー完成)
この3つの事実が相場参加者を買い目線へと変化させ、その後、市場参加者が買い目線となったことで、どんどん上昇していきます。
このように、なぜそのパターンが出るのかを一つ一つ丁寧に見ていき、市場参加者の心理変化という観点から観察的に見ていくことで、より相場は理解しやすくなります。
6.チャートパターンの注意点
チャートパターンで、注意してもらいたいことがあります。
それは、チャートパターンを学ぶと自然と人は心理的バイアスがかかりやすくなることです。
チャートパターンを見つけると、その後、自分が学んだような値動きになると勝手に思い込んでしまいがちです。
例えば、ヘッドアンドショルダーはトレンド転換のサインですが、パターンを見つけると、その後、上昇トレンドから転換して、下降トレンドになるようなイメージを勝手にしてしまうものです。
繰り返しになりますが、チャートパターンの形状そのものが重要なわけではなく、本当に重要なのは、そのパターンがどこに現れるのかです。
つまり、ヘッドアンドショルダーが出現したことが重要なのではなく、反転の可能性がある場所で反転を示唆するヘッドアンドショルダーが出現したことが重要なのです。
人は見たいように相場を見てしまうもの。これは、トレード歴を重ねてもなかなか解決が難しい課題でもあります。
常に、相場を見る自分判断に「バイアスがかかっていないか?」を自問自答しながらチャートを見ることが大切だと思います。
7.まとめ
さて、ここまでチャートパターンを学ぶ目的から、具体的なチャートパターン、実戦で使うための視点、そして注意点まで一通り見てきました。
チャートパターン単独ではなく、相場背景や出現する場面を組み合わせて見ることで、より精確で、より多彩なトレードプランを立てることができるようになります。
チャートパターンをより深く理解することで、より自由にトレードプランを作成でき、フレキシブルに相場に対応することができるようになります。
参考にしていただければ幸いです。