「トレードする際、水平線って具体的にどんなところに引いたらいいの?」
こんな疑問に答えます。
FXトレード歴8年の私は、これまで水平線を使ってトレード戦略を立てたり、実際のエントリータイミングを計ったり、水平線を中心にトレードをしてきました。
そんな私が思うこと。それは、一本の水平線で戦略、戦術ともにガラリと変わるということです。
水平線を使わずに勝てているトレーダーも少数ながらいますが、ほとんどのトレーダーは水平線を使ってトレードしています。
つまり、水平線は、トレードにおいて基本中の基本のツールなのです。
というわけで、この記事では、「水平線ってそもそも何?」というところから、水平線を具体的にどこに引けばいいのかを詳しく解説していきます。
テクニカル分析をする上で、基本中の基本とも言える今回の水平線のお話は、トレードの精度を高めるためにも、一貫性を持ったトレードを継続していくためにもとても大切なお話になります。
ぜひ最後までお付き合いください。
そもそもFXトレードにおける水平線とは?
まずは、水平線とはそもそも何なのか?という所から説明していきましょう。
「水平線」とは、市場参加者に意識されている価格に引く水平のラインを言います。
ここでいう「市場参加者に意識されている価格」とは、高値や安値などで何度も止まっている価格を言います。
実際のチャートを見ながら説明していきましょう。
このチャートは、ドル円チャートですが、107円から1円刻みで110円まで水平線を引いています。
それぞれの価格が、そのラインにタッチし、反発しているのがわかると思います。
もちろん、必ず止まるというわけではなく、抜けることもあります。ただ、重要なのは、そのラインは市場参加者に意識され、心理的偏りを生じさせているということです。
この心理的偏りや価格が反発する原理については後述します。
水平線を引く目的はそもそも何なのか?
次に、水平線は何のために引くのかを考えてみましょう。
つまり、水平線を引くそもそもの目的は何か?ということです。
水平線を引く目的は、一言でいうと、相場の階層を視覚的にわかりやすくすることです。
水平線は、意識されている価格に引くラインだと先ほど説明しました。つまり、水平線は市場参加者の心理的節目となります。
心理的節目は、市場参加者の注目を集め、心理的偏りを生みます。そのため、その価格に到達すると反発したり、抜けるとよく伸びたりするのです。
この心理的節目を把握することで、
- トレードの戦略を立てることができる
- 根拠ある損切りやエントリーができるようになる
- 反発する前に利食いができるようになる
- など、様々なメリットがあります。
水平線は、例えるならバスの停留所のようなものです。
停留所では、これまで乗っていた人達が降りたり、新たな人たちが乗り込んできたりします。
そして、乗客の乗降が終わると、次の停留所に向けてバスは出発します。
相場とバスが違うのは、目的地が乗る人たちのバランスによって行先とスピードが変わるということです。
同じ方向に向かいたい人が多ければ多いほど、速いスピードで向かっていきます。
停留所と停留所の間は、基本的にはそのままの勢いが続きますが、バスの停留所に到達し、バスに乗る人たちのバランスが変わると、目的地やそのスピードが変わったりするのです。
停留所の存在を知ることで、転換や勢いの加速を事前に想定することができます。
なぜ水平線は機能するのか?
では、次に水平線はなぜ機能するかを考えていきましょう。どういったメカニズムで水平線は機能するのでしょうか?
答えから言うと、それは水平線が人の売買心理に強く作用するからです。
何回も反発している価格やむき出しの高値安値は、市場参加者に強く意識され、売買心理に大きく影響します。
価格は、需要と供給によって動きます。違う言い方をすると、買いたいと思う人が増えることで価格は上がり、売りたいと思う人が増えることで価格は下がります。
例えば、上のチャートのように、相場が上昇し、水平線に近づいたとします(黄色のエリア到達)。
水平線タッチ直前では、
- 買いポジションの決済売り
- 新規売りポジションの増
この2つの要因が一気に出てきます。
水平線に近づけば近づくほど買いは減り、売りが増えていきます。そうなると、徐々に上値が重くなり、やがて反転します。
サポートラインとレジスタンスライン
水平線は、機能別に次の2種類のラインがあります。それが、サポートラインとレジスタンスラインです。
レジスタンスライン
現在の価格よりも上に引けるラインです。価格がこのラインに到達すると反転要素となります。
サポートライン
現在の価格よりも下に引けるラインです。価格がこのラインに到達すると反発要素となります。
レジスタンスラインとサポートラインの逆転
同じ一本のラインですが、現在値よりも上にあるか、下にあるかで違った働きをします。
つまり、ラインを一旦上抜けると、そのラインは、サポートラインとして機能し、逆にラインを下抜けると今度はそのラインはレジスタンスラインとして機能します。
このレジスタンスラインとサポートラインの転換をレジサポ転換、サポレジ転換といいます。
これは、トレードをする上で最も基本的な水平線の機能です。
上のチャートを見てください。それぞれの時点において、同じ水平線だとしてもこのように機能が変わります。
①の時点
- 109円→レジスタンスラインとして機能
- 108円→サポートラインとして機能
②の時点
- 108円→レジスタンスラインとして機能
- 107円→サポートラインとして機能
③の時点
- 107円→レジスタンスラインとして機能
④の時点
- 108円→レジスタンスラインとして機能
- 107円→サポートラインとして機能
水平線は未来に渡って機能する
ラインと一言で言っても、トレンドライン、チャネルラインなどいろいろあります。その中で私は特に水平線を重要視しています。
その理由は、他のラインに比べ、時間経過しても意識され、そして機能するからです。
トレンドラインやチャネルラインは、時間が経過すると意識されなくなりますが、水平線は、時間が経過してもチャート上に残り、意識され続けます。
ですので、私は水平線をトレードする上でとても大切にしています。
上記は、USDJPYの週足ですが、将来的にこの水平線にタッチした時、どのような反応を示すか、事前に想定することができますよね?
水平線は、トレンドラインなどと違って、3年、5年など長期に渡って機能することがあります。
水平線はどこに引くべきか?
では、いよいよ本題の水平線の引き方についてです。
水平線をどこに引くべきかを具体的に説明していきます。水平線を引くべき場所は、大きく分類して、次の3つがあります。
- むき出しの高値安値
- 高値更新の直近の安値(安値更新の直近の高値)
- 価格が何度も反応しているライン
この3つのポイントに共通しているのは、市場のエネルギーが集中し、市場参加者が強く意識している価格という点です。
それでは一つ一つ見ていきましょう。
むき出しの高値・安値
むき出しの高値や安値に引きます。目立ちますから、市場参加者に強く意識されるポイントです。
高値更新の直近の安値(安値更新の直近の高値)
上昇トレンドの場合、高値を更新した直近の安値。下降トレンドの場合、安値を更新した直近の高値に水平線を引きます。
なぜ、これらに引くべきなのかというと、ここに最も出来高が集中しているからです。出来高があればそのポイントは、その後において反転しやすい場所になります。
価格が何度も反応しているライン
価格が何度も反応していれば、自然と「ここで止まるかも」と意識されます。反応する回数が多ければ多いほど、より意識され、反応しやすくなります。
水平線を引く目的は、冒頭でお伝えしたとおり、相場の階層を視覚的にわかりやすくすることです。
つまり、市場参加者の心理的変化が起きる価格帯を把握することにあります。
ですから、市場参加者がどの価格を意識してチャートを見ているのかはとても大切な視点で、必然的にこの3点に注目が集まります。
この観点から言うと、1点の高値安値だとしてもそれが市場で強く意識されるようなポイントなのであれば、水平線は引くべきだということです。
もちろん、ラインをむやみにたくさん引けばいいというわけではありません。
- 意識される価格はどこなのか?
- 多くの市場参加者の心理的変化が起こる価格はどこなのか?
この観点から最小限のラインのみを引くようにしましょう。
まとめ
さて、ここまで「水平線ってそもそも何?」というところから、水平線を具体的にどこに引くべきかを実際のチャートを見ながら説明してきました。
水平線を引くべき場所をまとめると次の3つのポイントです。
- むき出しの高値安値
- 高値更新の直近の安値(安値更新の直近の高値)
- 価格が何度も反応しているライン
水平線を慣れないうちは、たくさんのラインを引いてしまい、見にくいチャートになってしまうかもしれません。
そんな時は、水平線の引く目的をもう一度思い出してください。むやみにラインを引いたり、漫然とチャートを見ても、意味がありません。
「自分はチャートから何を得るためにラインを引くのか?」これを自分の中で明確にしておかなければ、ラインを引く意味はもちろん、チャートを見る意味がありません。
何を得るためにチャートを見るのか?
これは水平線だけではなく、どんなインディケータにも言える本質的な問いです。
チャート分析をする際、常に意識するようにしておくようにしましょう。