トレードでは、トレンドに乗ることが大切だと言われています。
確かに、偉大なトレーダー達もそう言っていますし、名著と呼ばれる古典でもそう書かれていますよね。
しかし、実際にあなたのトレンドフォロー手法の勝率はどうですか?
自分が思ったような勝率になっていますか?
単純にトレンドに乗れと言われても、闇雲にポジションを取って勝てるわけではありません。
トレンドフォローは、
- 長期足と短期足を組み合わせて相場を俯瞰するマルチタイムフレーム分析
- 長期的な流れには沿いつつも、短期的な流れには逆らう逆張り思考
これらがとても大切になってきます。
この記事では、私がおすすめするトレンドフォロー手法をご紹介していきます。
最後まで読んでいただくことで、より勝率の高いトレンドフォロー手法への大きなヒントになるはずです。
ぜひ、最後までお付き合いください。
1.狙うべき相場環境と一連の流れ
では、さっそくご紹介する手法の狙うべき相場環境と流れを見ていきましょう。
1-1 中長期足がトレンド発生している場面
まずは、狙うべき相場環境ですが、中長期足でトレンドが発生している場面を狙います。
下のチャートを見てください。
上昇トレンドが続いていて、後半若干もみ合ってはいますが、最終的にはレジスタンスラインをブレイクアウトしたという場面です。
まさに、このような中長期足でのブレイクアウトの場面を狙っていきます。
1-2 ブレイクアウト後調整し、チャートポイントに到達
中長期足でブレイクアウトの後に調整が入り、チャートポイント(下のチャートではブレイクライン)に到達した場面を短期足で狙っていきます。
1-3 短期足でチャートポイントでの詳細な挙動を確認していく
中長期足のチャートポイントに達したら、時間軸を短期足に移し、より細かい値動きを見ていきます。
短期足にする理由は次の二つ。
- 細かいローソク足の挙動を見るため
- 具体的なエントリータイミングを計るため
短期足にすることで、より値動きを詳細に掴みつつ、細かいタイミングを計ることができます。
1-4 短期足でタイミングを計ってエントリー
具体的にどのようなタイミングでエントリーしていくかということですが、次の3つタイミングがあります。
- チャートポイントタッチ
- 短期足のトレンドの否定
- 短期足トレンドフォロー
2.エントリータイミング
3つのエントリータイミングについて、それぞれ詳しく説明していきましょう。
2-1 チャートポイントタッチ
最初に「チャートポイントタッチ」です。
これは、リスクを選好し、利幅を取りに行くタイミングになります。
私がよく使うのは、チャートポイント付近に指値を置くことです。
この場合、反発の兆候を確認しないまま指値で拾うわけですから、落ちるナイフを掴む感覚に似ています。
ですから、このタイミングで入る時は、反発の可能性がかなり高いと見込まれる場合に限ります。
例えば、
- 重要な価格(ドル円で言うと100円、110円、120円など市場が強く意識している価格)
- 複数の時間足のチャートポイントが重なった価格
など、ラインが市場に強く意識されてかなり機能しやすい場合に限られます。
反発の根拠が多く、高確率で反発しそうなラインを狙って、リスクを取って指値でエントリーしていくわけです。
このタイミングで入る最も大きいメリットは、大きな利幅が取れることです。指値を入れておくことで、約定した瞬間に利益が乗っていることがあります。
逆にデメリットとしては、損切りを設定しづらいことが挙げられます。正直どこで反転するかがわかりませんから、損切りも設定しづらいところがあります。
しかも、チャートポイント付近には新規注文、決済注文(損切りを含む)が並んでいますから、一度抜けると値が大きく伸びます。
そのため、損切りはどうしても離して設定しなければならず、リスクリワード比がどうしても悪くなってしまう傾向にあります。
このタイミングで入る場合は、
水平ライン(チャートポイント)が機能せず、そのまま突き抜ける可能性があること
損切りをある程度離す必要があり、リスクリワードが悪くなる可能性があること
反発を確認しないことから、そのまま損切りとなってしまう可能性もあること
これらを十分に頭に入れておくことです。
このエントリーは、中長期の強いレジスタンス(サポート)ラインが機能するという前提で成り立っています。
しかし、当たり前の話ですが、実際に機能するかどうかは、そのときになってみないとわかりません。
ですから、トレードが成功するかどうかは、トレード前にどれだけ多くの根拠を集めることができるかにかかっています。
うまく指値で拾うことができれば、中長期足のトレンドに沿うかなりいいお宝ポジションを手に入れることができます。
2-2 短期足のトレンドの否定
次に「短期足のトレンドの否定」です。
ここで言う「トレンドの否定」とは、ダウ理論上のトレンドが否定されたという意味です。
もし、ダウ理論がよくわからないという場合は、こちらの記事にまとめていますので、まずはこちらを確認してみてください。
≫参考:ダウ理論で明確なトレンド分析!正しいFXチャートの読み方
では、進めていきます。下のチャートを見てください。
長期足のチャートポイントに達して反発したことで、短期足の下降トレンドが否定された状態です。
この後の初押しをタイミングを計ってエントリーしていきます。
短期足で、
- ブレイクライン(短期下降トレンドを否定したライン)
- MA20(ボリンジャーバンドのミドル)
これら2つのうちどちらか一つ、もしくは重合点で反発、再上昇するときを狙ってロングエントリーします。
このタイミングでは、先ほど説明した指値のエントリーよりも、下降トレンドの否定を確認している分、安全度が増していることに注目です。
先程のタイミングが落ちたナイフを掴むようなものだとしたら、こちらは落ちたナイフが床に刺さったのを確認してから拾い上げる感覚です。
もちろん、先ほどご紹介したタイミングよりは値幅が少なくなりますが、底が明確な分、損切りも狭くすることができるメリットがあります。
2-3 短期足トレンドフォロー
次が「短期足トレンドフォロー」です。
下のチャートを見てください。
先程の2-2「短期足のトレンドの否定」の状態からさらに一段上昇した状態です。
短期足でダウ理論上の上昇トレンドに切り替わっているのが分かるでしょうか?
短期足の下降トレンドを否定し、上昇トレンドに切り替わっています。
2-2「短期足のトレンドの否定」と同様、短期足で
- ブレイクライン(短期下降トレンドを否定したライン)
- MA20(ボリンジャーバンドのミドル)
これら2つのうちどちらか一つ、もしくは、重合点で反発、再上昇するときを狙ってロングエントリーしていきます。
このエントリータイミングのメリットは、短期足が上昇トレンドになるまで待っているため、最も安全であることです。
また、安値が明確ですから、損切り幅を狭くできるというメリットもあります。
もちろん、安全度は最も高いタイミングになりますが、短期足の上昇トレンド確定まで待つ分、利幅が最も少なくなります。
結局、どれがベストということはない
「チャートポイントタッチ」は、リスクを選好し、利幅を獲りにいくタイミングですし、「短期足トレンドフォロー」はリスクは低いですが、利幅は獲れないタイミングになります。
これらのタイミングのうち、どれを選択するかは、中長期足のトレンドの強さとチャートポイントの強さを総合的に判断する必要があります。
どのタイミングでエントリーしたとしても間違いということはありません。リスクをとるか、利幅をとるかそれぞれ一長一短なのです。
自分が何を得て、何を捨てるのか。それを自分がしっかりと選ぶことが大切だということです。
3.エントリーの根拠
この手法でのエントリー根拠を挙げるとすれば、次の3つがあるでしょう。
3-1 中長期足でトレンドが発生している
短期的には逆張りですが、中長期足のトレンド方向に沿ったエントリーをしています。
中長期足は短期足を支配しますから、中長期足のトレンドに乗ることは優位性があると言えます。
3-2 中長期足のレジスタンス(サポート)ライン
サポートラインは、ラインに接近すると価格を上に弾きやすく、レジスタンスラインは、価格を下へ弾きやすい性質を持っています。
先程のケースでは、中長期足のサポートラインの直上ですので、上に反発しやすい相場環境にあります。
つまり、中長期足のサポートラインの直上でのロングには優位性があるということが言えるでしょう。
3-3 短期足でトレンドが否定されている(2-1を除く)
2-2「短期足のトレンドの否定」、2-3「短期足トレンドフォロー」では、短期足でダウ理論の下降トレンドの高値安値の切り下げを否定しています。
そのため、うまくいくと調整が終わる可能性の高い場面で、長期足のトレンドに沿ったかなりいいポジションを取ることができます。
3-4 短期足と長期足のトレンドの一致(2-3の場合)
2-3「短期足トレンドフォロー」は、短期足のトレンド転換を待ってからのエントリーとなりますから、短期足と長期足のトレンドが一致した最高の状態でエントリーすることができます。
4.3つのエントリータイミングの共通点
- チャートポイントタッチ
- 短期足のトレンドの否定
- 短期足トレンドフォロー
実はこの3つのエントリータイミングには共通点があります。
それは、短期足で押し戻しを待ってエントリーしていることです。
ロングであれば押しを待ち、ショートであれば戻しを待つ。短期的には逆張りで攻めること、これがトレードにおいてはとても重要です。
損切りが多くなってしまう人の傾向として、高値掴み、安値掴みがあります。気持ちが焦ってしまい、値が伸びきったところでエントリーしてしまうのです。
含み損を抱えることが多くなるだけではなく、損切り幅も広くなってしまいますから、必然的に持てるポジション量も少なくなってしまいます。
5.増し玉も選択肢に
エントリータイミングが3つもあれば、どれがいいのか迷ってしまうかもしれません。
しかし、必ずどれか一つを選ばなければならないというわけではありません。
例えば、持てるポジション量の1/3ずつをそれぞれのタイミングで執行していくのも実は有効な方法です。
①の指値注文が約定したとしましょう。これが、逆行したら①は損切りとなります。損失額は1/3。
ですが、その後想定どおり上昇したら、②でポジションの1/3をロング、③で残りの1/3をロングしていけばいいのです。
この方法は、自分の想定の逆へいった場合の損失は小さくでき、想定どおりの方向へいったらポジションを積み増すという非常に合理的な方法です。
この方法は私もよく使うことがありますし、非常に有効な方法だと思います。
6.利食い
利食いは、トレードスタイルによってタイミングが異なります。
例えば、ポジションをあまり長く持たないトレードスタイルだとすれば、短期足ベースで利食いを設定します。
ポジションを長く持つトレードスタイルなら、長期足で利食いのポイントを探すことになります。
7.損切り
損切りポイントは、それぞれのエントリータイミングによって異なります。
共通しているのは、エントリーの根拠がなくなるポイントです。
「エントリーの根拠が失われるのはどこか?」
それを自分自身に問いかけ、そのポイントに損切りを置きます。
当然ながら、根拠あるエントリーをしていなければ、損切りポイントは定まりません。
8.まとめ
さて、ここまで私がおすすめするトレンド環境下でのトレンドフォロー手法をご紹介してきました。
長期足から相場環境を把握し、今どのような状況にあるのかを見定めた上で、具体的に短期足でどうエントリーしていくのか、その考え方と流れを確認してきました。
闇雲にトレンドに乗ろうとしても、それはうまくいきません。
繰り返しになりますが、トレンドフォローは、
長期足と短期足によって相場を俯瞰するマルチタイムフレーム分析
長期的な流れには沿いつつも、短期的な流れには逆らう逆張り思考
これらが重要になります。
この記事が、あなたのトレンドフォロー手法のヒントになれば幸いです。