アイデアが浮かばない・・・
いかに効率的に、そして多くのアイデアを生み出すか。いかにそれらをまとめ、一つの企画に仕上げるか。これは多くのビジネスパーソンにとって大きなテーマでしょう。
誰もが思いつかないようなアイデアをポンポンと出せる人というのは確かにいるものです。しかし、このような人は何か特別な才能や能力を持っているのでしょうか?
アイデアはひらめきから生まれるイメージが強いので、一種の特別な才能や能力であると思いがちです。
しかし、私の周りにいる人達を見ていてよく思うのは、そのような人達は例外なく自分なりのアイデアの生み出し方、方法論を確立しているということです。
つまり、アイデアを生み出す一種のスキルとも言うことができるでしょう。
アイデアを生み出すことが一種のスキルなのだとすれば、これは私達にとっては朗報です。なぜなら、発想法や工夫次第で誰でもアイデアを生み出せるということだからです。
この記事では、アイデアを生み出すための過程と7つの発想法をご紹介します。
アイデアを出す過程や発想法を知り、そして実践することで、アイデアが自然と生み出せるようになるはずです。
では、さっそく始めていきましょう。
アイデアとは何なのか?
まずアイデアとは何なのかを考えていきます。
アイデアについて書かれた本の中に「アイデアのつくり方」( ジェームス・W・ヤング著) という本があります。本書の中で、アイデアは「既存の要素の新しい組み合わせ」と書かれています。
つまり、まだ誰も知らないようなものではなく、誰もが知っている一般的なものの組み合わせがアイデアだということです。
さらに、この組み合わせる才能は、「事物の関連性を見つけ出す才能に依存する」とも。
つまり、バラバラな物事について関連性を見出し、組み合わせることがアイデアであると。
私達はアイデアを出すために「関連性」と「組み合わせ」を強く意識して思考する必要があるというのです。
アイデア発想の5つの段階
さて、次にアイデアが作られる流れについて考えていきます。 「アイデアのつくり方」で、アイデアは次の5つの段階を経ると書かれています。
- 第1段階 資料の収集
- 第2段階 資料の咀嚼
- 第3段階 問題の放棄
- 第4段階 アイデアの誕生
- 第5段階 アイデアの適用
アイデアのつくり方/ジェームスW.ヤング
第1段階 資料の収集
まず第1段階の「資料の収集」です。ここは、情報を集める段階です。
繰り返しになりますが、アイデアとは、誰もが知らないような新しいものではなく、一般的に知られているものの組み合わせによって出来上がります。
つまり、「情報」とはアイデアを作るための素材なのです。そうなると、当然素材の良し悪しがアイデアの質を左右します。
質の高い情報収集が、良いアイデアを生み出すために必要不可欠なのです。
「アイデアのつくり方」の中では、アイデアを生み出すために必要な資料として、「特殊資料」と「一般資料」があると言っています。
特殊資料とは・・・
テーマに対して直接的な資料を差します。
例えば、スポーツドリンクの新商品のためのアイデアなのであれば、スポーツドリンクの市場や飲料の成分などに関する資料などになります。いわゆる専門知識です。
一般資料とは・・・
テーマに対して直接的ではない資料を差します。
例えば、スポーツドリンクとは直接関係しない、その他のあらゆる分野に関する資料のことを差します。
あらゆる方面のどんな知識でもむさぼり食う、牛と同じで食べなければミルクは出ない
アイデアのつくり方/ジェームスW.ヤング
とにかく多くの情報を取り入れることが大切だとヤングは言います。
資料収集はアイデアを生み出すための重要なステップ。ここを疎かにしてしまうと、当然次のステップに進むことはできません。
ここで情報収集に関して一つ注意すべきことがあります。
情報収集する際は、常に自分の体験を含む直の情報源、つまり、一次情報源にアクセスする意識を持つことです。
情報源には、一次情報源と二次情報源があります。一次情報源とは、自分の体験を含む直の情報源です。これに対し、ニュースサイトやブログなど、第三者が洞察、批評、結論を導き出したものを二次情報源といいます。
インターネットを誰もが使うようになり、ブログやTwitterやFacebookなどのSNSも普及し、インターネット上の情報量は年々飛躍的に増えています。有象無象の情報に溢れかえっている状況にあります。
かつては情報を集めることに大変な労力が必要でしたが、今では指を動かすだけで情報を手に入れられる時代です。
そんな時代において重要なのは、多くの情報が氾濫する中で、正しい情報源に辿り着き、情報を収集する力です。
第2段階 資料の咀嚼
次に第2段階の「資料の咀嚼」とは、第1段階で集めた資料を検討するプロセスです。
収集した資料について、いろいろな角度から見たり、パズルのピースのように組み合わせたりすることで、さまざまな観点から検討してみるのです。
ここがアイデアを生み出すための大きな壁です。
なぜなら、内容を理解し、分解、組み合わせることは、脳に大きな負荷をかけ、ストレスを感じることだからです。
知らない情報が入ってくることで脳は混乱します。しかし、この混乱を経て、アイデアは生み出されるのです。
第3段階 問題の放棄
第3段階の「問題の放棄」は、まさに言葉の通り、問題から一旦離れるということです。
集中を別の自分の興味があることや気分転換に意識を移すのです。
実際に締め切りがある中で、問題から意識を逸らすのは、心理的に難しいかもしれませんが、このプロセスはとても大切です。
なぜなら、問題にフォーカスしたままでは新たなアイデアは浮かんでこないからです。
脳を混乱させた状態のまま、まったく別のことをすることが大切です。シャワーを浴びたり、散歩やカフェに行ったり、自分の好きなことをするのです。
緊張を解いて体も頭を自由にしてみることで、アイデアの次の段階が訪れるのを静かに待ちます。
第4段階 アイデアの誕生
いよいよ、第4段階の「アイデアの誕生」です。
第3段階で緊張を解き、脳も体もリラックスさせることで、アイデアが生み出しやすくなっています。
ドライブしている時、お風呂に入っている時、ぼーっとテレビを見ている時。アイデアの到来を最も期待していない時にこそ、ひらめきはやってきます。
第5段階 アイデアの適用
最後に第5段階の「アイデアの適用」です。
アイデアは発想して終わりではありません。自分の頭だけにあってもそれは何の価値もないのです。
アイデアをしっかりとカタチにしてあげることがこの第5段階です。
さて、この5つのプロセスを経てアイデアは生み出されます。いいアイデアをカタチにするためには、どのステップも欠かすことができない、とても重要なプロセスです。
おすすめの7つの発想法
5つの段階のうち、特に第2段階がアイデアを生み出すために重要なプロセスです。そして、最も苦しいのもこの段階になります。
この段階では、資料を収集した後、パズルのようにピースを組み合わせてさまざまな観点から検討することを求められます。
この検討を助けるのが、「脳に問いを与えること」です。問いを与えることで、より簡単にアイデアを出すことができます。
私がいつも使っている 脳に問いを与える7つの発想法をご紹介しましょう。
1.穴埋めしてみる
例えば、「この商品は、○○○だ」という穴埋めをしてみることです。ちょっと例を出してみましょう。
「この商品は、トレッキングシューズだ」
これは、何の商品かわかりますか?実は、この発想で生まれたのがトヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」です。
最近では街中でもファッション感覚でトレッキングシューズを履く人が増えています。
そのイメージが、「Active & Fun」というデザインコンセプトに合うことからトレッキングシューズをモチーフにデザインしたそうです。
車と靴、一見まったく関係のない組み合わせですが、コンセプトがうまくフィットし、ヒットに繋がりました。
この例のように○○○の部分をまったく関係ないワードを入れてみることで、あっと驚くアイデアが生まれるきっかけになることがあります。
2.あるものをなくしてみる
次は、あるべきものを「なかったらどうだろう?」と考えてみることです。
自分の専門分野や業界でまったく新しいアイデアを出すことは、容易なことではありません。
なぜなら、その分野や業界熟知しているからこそ、当たり前だと思って検討しなかったり、思い込みが入るからです。
そのためにも既に当たり前に存在している条件を壊してみるのです。商品やサービスの目的は変えず、手段だけを変えてみるのです。
あるべきものを「なかったらどうだろう?」と考えてみます。
例えば、
扇風機から羽をなくしてみる
→Dysonの扇風機
ホテルフロントをなくしてみる
→変なホテル
パソコンからキーボードはなくしてみる
→タブレットPC
当たり前にあるものをあえてなくしてみることで、何か新しいものができるかもしれません。これはサービス、人、モノ、何でもいいでしょう。
もちろん、なくすことでより便利になったり、経費削減になったりする効果があれば最高ですが、アイデアを出す段階ではそこまで考えなくても大丈夫です。
まずは、多くのアイデアを出してみることです。
3.真逆の状況を考える
次は、真逆の状況を考えてみることです。
例えば、「○○○なのに△△△だ」と考えてみるのです。
AKB48は「会いに行けるアイドル」として売り出しましたが、これはアイドルなのに会いに行けるというというのがユニークでした。
物事の常識を一回考えてみて、「その逆の発想をしたらどうだろう?」と考えてみることで、あっと驚くアイデアになるかもしれません。
では、新しい牛丼屋さんを例に考えてみましょう。
(1)常識を書き出す
まず、常識的な牛丼屋を考えていきます。
- 牛丼屋は安い
- 牛丼屋は早い
- 牛丼屋は女性一人で入りづらい
(2)非常識に変えてアイデアを出す
次に、その真逆を考えます。
- 牛丼屋は安い→一杯5000円の牛丼(A5ランクの国産牛使用)
- 牛丼屋は早い→30分かかる牛丼(肉をカットするところから調理過程を見せる)
- 牛丼屋は女性一人で入りづらい→女性限定の牛丼屋
このように常識の逆を考え、ありえない状況を作ることで、新たなアイデアのキッカケとなります。
4.くっつけてみる
次は、既存のものをくっつけてみることです。
アイデアは既存の物事の組み合わせの言葉どおり、すでにあるものをくっつけてみることで、新たなアイデアが生まれるかもしれません。
実際によくあるものとしては、周辺にあるものとくっつけているという事例です。
例えば、消しゴム付きの鉛筆とか先割れスプーンなどがそうでしょう。
(1)ターゲットとするものの周辺情報を書き出す
(2)くっつけてみる
(3)それが便利なのかを考えてみる
この流れで考えてみると、これまでになかった新しいアイデアが生まれるかもしれません。
5.限定性を持たせる
次は、あえて限定してみることです。
例えば、ご当地グルメなんかそうです。
ここでしか食べることができないということで、旅行の際にせっかくだからと食べることもあるでしょう。
ご当地グッツ→地域限定
1日1組しか受けないレストラン→人数限定
このように物事を限定すると特別感、プレミアム感を与えることができます
地域、場所、人、時期、時間、季節、シチュエーション・・・限定できるものは無数に出てくると思います。
限定してみることで、新しい切り口が見つかるかもしれません。
6.順番を入れ替えてみる
次は、順番を入れ替えてみることによってアイデアの出す方法です。
例えば、コース料理は通常、前菜、スープ、メイン、デザートと続きますが、逆にデザートから出したらどうだろうか?と考えてみたらどうでしょう。
サービスの提供の順番
お会計の順番
既定のプロセスの順番を入れ替えたらどうだろうかと考えることで面白いアイデアになったりすることがあります。
7.振り切る
新たなアイデアを出すために極端に振り切って考えてみることです。例えば、「世界一の○○○」と考えてみるのです。
世界一大きい、世界一小さい
世界一長い、世界一短い
世界一早い、世界一遅い
世界一重い、
世界一軽い
テーマに当てはめて考えることで、出てこないアイデアが生まれやすくなります。
まとめ
さて、アイデアはどのような過程を経て生み出されるのか、そして、新たなアイデアの発想法について見てきました。
アイデアを生み出すことは、一種のスキルです。発想法や工夫次第で誰でもアイデアを生み出すことができます。。
ぜひ今回ご紹介した7つの発想法については、アイデアを出す際の一つのテンプレートとして活用してみてください。
あなたにとってアイデアを出すヒントになれば幸いです。